第11回あさすぱ談義

2006

伊達
さてさて、2018年8月の新生阿佐ヶ谷スパイダース本公演の情報もだんだんと明らかになってきましたが、ASP特典についても少々お待ちください。
あさすぱ談義今回は2006年、まずは「桜飛沫」です。
 

 

 

 

 

おっ!
おおぉ、これまた、濃い感情がビュンビュン飛び交ってそうな シーン…。良いですね!
 
伊達
桜飛沫言うだけあってラストはすごいです。 今は剣を捨てたがかつては剣豪と名の知れた敵同士の二人、山本亨さんと橋本じゅんさんが、ラスト再び対峙し、まさに斬りかかる瞬間、舞台袖からハンパない量の桜吹雪が舞い上がり、舞台一面ピンク色に染まります。でかいブロワー使って凄まじい桜です。
 
木村
桜飛沫!きれーい!!舞台でこんなに綺麗な光景見られるのですね。終演後、元の状態に戻すのものすごく大変そう。
 

桜ってこう、日本人の心情をかき乱すといいますか、桜が舞い散る中で人と人が出会っちゃうと、抱き合うか殺し合うかしかないみたいなところありますよね。
 
伊達
桜飛沫に二人の姿は飲まれ、斬り合いは描かれずに幕は閉じます。
 

うおおお…そこで斬り合いは描かれずに幕…にくい!
 
伊達
春の訪れであるとともに死のイメージでもありますね桜は。今満開だねそういえば。
 

満開ですね、まさに今。
そう考えると、桜って不思議ですね。キレイキレイと愛でつつも、どこか不穏な…。この公演の思い出などありますか?
 
伊達
この芝居2部構成で、セットが全く違うの。1部は沼ばかりの寂れた村で、2部は軒を連ねる宿場町と桜の大木。休憩あけたら全然違うからお客さんびっくりしたんじゃないかな。
 

いいですねえ、観たい!陰気な沼地と桜っていうのも、またいい具合にコントラストが。ワクワクしてきますね、その二部構成!
 
伊達
で、1部は「蟒蛇如(うわばみのごとく)」って副題なんだけど、でかい蛇が出るの。アクション指導もしてくれた川原さんが乱暴者の野武士みたいのでも出演してるんだけども、やばいピンチという時に、咆哮をあげた大蛇が現れ、川原さんを沼の奥地へと引きずり込んでいきます。 草むらの陰に穴みたいなスロープがあって、そこに足から徐々に地面に引きずり込まれ消えていく様はお見事でした。
 

大蛇は何人かで操作していたのですか?
 
伊達
うーん、どうだったかな。川原さんは自らのリアクションで地面に消えていきました。大蛇がのそっと動くのはレールを引いていたような気も。押すのは人力で。
 
木村
聞いてるだけで怖いですねえ。ウワバミ、日本昔ばなしに出てきて知ってます。大酒飲みもウワバミですもんね。
 
伊達
木村さんはウワバミですね。
 

確かに、木村さんはウワバミですね。
 
木村
いや、ごめんなさい、本当に恥ずかしい( ̄▽ ̄;)
 

うわばみって調べたら謎のキスマークがついていて混乱しています。
 

 
木村
キスマークまじで謎ですね!!
 
伊達
うわばみさんは何でもいけるの?ビール、焼酎、日本酒。
 
木村
うわばみさん(笑)
はい、ワイン、日本酒が特に好きですね!ラムもウイスキーも飲みます!
 
伊達
すごいね、俺全くついていけないわ。この前、瓶ビールをコップで3、4杯で二日酔いだったわ。森くんは?
 

ぼくは、お酒は好きでなんですけど、強くないんです。すぐ楽しくなってすぐ眠くなるというか。ペルノーっていうお酒が大好きです!
 
伊達
なにそれ?カクテル?
 

香りが強いアニス酒?というやつなんですが、クセが強くて、友達に飲ませると大抵シブい顔をされます。水割りで飲むんですけど、水いれると白く濁るという怪しげな。
 

 
中山
若い時よく圭史のお母さんとよくのんだよ。
 

ペルノーをですか!!?
 
中山
ペルノもそうだけどリカーノも、昔よく圭史の家にあったのよ。
そのうち圭史が一人暮らし始めると、顔だけだしてお酒だけもらって帰ったりもして。でも、自分たちで買う時は純という安い焼酎をグレープフルーツ割りで飲んでたけど。
 

すごく羨ましい環境です。いつでもペルノー。
ペルノーの味や香りは大丈夫でしたか?
 
中山
うん!若かったし好奇心旺盛だったし、水が濁るのが面白かったし。
基本的にお酒なんでもOKだったし!
 

あんまりペルノーが好きだと言う人が周りにいないので、嬉しいです!
ペルノーに似た、トルコのYENI RAKI というお酒ももの凄く美味しいです。
 
伊達
薬草系ハーブリキュールなのね。弱いくせに超飲んでみたいわ〜。ソーダ割りにライムを添えて。
 
中山
うん!それうまそう!
でも果たしてライムが合うのか‥
 
伊達
なんかね、合うみたい。レモンも。
 

 

確かに、レモンとかライムと一緒飲んだことないです。でも合いそうです。
 
中山
本当だ、美味そう!
 
木村
ペルノー飲みたい!!!ウズウズしてきました。
 
伊達
いいね!じゃあ今度みんなで飲んだ感想を言い合いましょう。
さてさて、お祭りのようだった時代劇に続いて2006年はもう一つ、「イヌの日」が駅前から本多に移り再演されました。
初演では地下の世界しかセットがありませんでしたが、再演では地上の家と地下壕の二層舞台が組まれました。
 

 

 

 

地下壕、いいですねえ。
皆さん、地下に映える、明るくPOPな装いですね。3枚目など特に。
 
伊達
この4人ね、小学生の時から15年間地下に閉じ込められたままなの。だからかなカラフルで子供服っぽいのも。
 

なるほど!! ものすごく納得しました。
でも考えてみると、デニムのオーバーオールの方なんかは、地下とか鉱山とかにピッタリな服装ですね。鉱山っぽさと小学生らしさを同時に表現できるって凄い服です。
 
伊達
その格好で彼女は、地上から物資の補給にやってきた男たちを暗闇の奥へと誘惑するんだよね。
 

そこに「イヌ」がどう絡んでくるのでしょうか?!
 
伊達
この芝居は夏の芝居であり母子の芝居でもあります。夏の一番暑い時期のことを英語で「dog days」と言います。劇中の子供たちはまるで夏休みかのように遊びまわっているし、セミや扇風機など、夏の風物詩も登場します。また、日本には「戌の日」というのがあって、妊娠5ヵ月目の十二支の戌にあたる日に、妊婦さんが腹帯を巻いて神社に安産祈願をします。
 

そういえば戌の日と妊婦さんのお話、なんかの歌舞伎作品で出てきたような気がします。なんだっけなあ…。夏の風物詩ってほとんどむなしい気配がありますね。すぐ終わってしまうというか。
 
伊達
それをね、子供たちは保存するという遊びに夢中になってます。風物詩を声や音で真似て保存するんです。
 

うっわぁ、切ないですねえ。夏を保存しようとする子供たち。
 
伊達
15年経ってるんで子供たちもう30歳近いんだけどね。中身子供のままだから。
 

その子供たちは、自分たちが30歳に近いということは認識してないんですか?
時間感覚といいますか。
 
伊達
してると思う。中津(閉じ込めた人)から、地上は核戦争で生きていけないから外に出ちゃダメだと信じ込まされてる。
 

出れない理由も伝えられてるんですね。たしかにオーバーオールの子は、人を誘惑するくらいに成長してるんですもんね。 気になる。すごく観たいです。
 
伊達
これを大切に宝物にしてる女の子がいます。知ってる?
 

 

知ってる気がしますこれ。
サービスエリアとかに売ってる光るやつですか?
 
伊達
そう。うちらの世代には懐かしいんだけど、蛍光の骸骨。
3枚目の写真の赤いスカートの子がつけてるでしょ。
 

ぼくも、懐かしいと感じます。 謎の小さい剣とか売ってた記憶があります。
 
伊達
地上が核戦争なんてあながち嘘でもないわけで、地下の彼らの方が幸せにも見えてきます。情報も限られ、モノも乏しいにも関わらず。
 
木村
子供のまま、自分たちの仲間だけ、小さい世界で生きられたらななんて思う事もたまにあります。
 

たしかに情報過多すぎる上に恐ろしいニュースも多く、山奥とか行くと心が安らぐのはありますね。子供たちは外に出ようとしなかったのですか?
 
伊達
外からやってきて地下の世界が気に入り住みついちゃう宮本チュンファという大人が登場します。彼は地上では差別され居場所を見つけられませんが、子供たちには大人気です。地下はもともと防空壕跡で不発弾が見つかります。一度は外に出ようとしますが、最終的には爆弾で地上への出口を塞いでしまいます。
 

めちゃくちゃ面白いです! 外から地下へやってくる人もいるんですね。
地上の広い世界は彼を差別して、逆に狭い地下で15年も一緒に生きてきた、一見排他的になりそうな共同体は、突然やってきた彼を受け入れる。ある種ユートピアみたいな、皮肉な話ですね。 最終的にはその出入り口を封鎖して、永久保存という。  子供たちの夏!
 
木村
森くん感想上手ですね!すごい。
ユートピアだけど、監禁されているわけで、一生出られないわけで、幸せなの?美しいの?どうやって生きていくのがいいんだろうなって問いかけられちゃうな…
面白いですね!
 
中山
イヌの日で演じた孝之は一生演じていたいほどに感情移入していた。今はもうしていない。自分も年をとって冷静になったんだなぁと思う‥
 
伊達
そっかあ、そうなんだね(感慨深い)。
そんなところで次回は2007年、男たちの暴走シリーズ第3弾でーす!よろしく。