第10回あさすぱ談義

2005

伊達
だいぶ振り返ってまいりましたが2005年の『悪魔の唄』で17回目の公演です。
本多劇場で日本兵がゾンビとして現代に蘇ります。
 

ゾンビもの、大好きです!
 

 

 

 
伊達
ゾンビたちは日光を浴びると消滅します。登場は圭哉さんゾンビが床板をぶち抜いて地面から這い出ます。洋館の大きなガラス窓に無数の日本兵が映し出されたり。
 
木村
悪魔の唄、見ました!!
かなり悲惨な話なのにみなさんがすごく楽しそうに演技されていた気がして、それが印象に残っていますね!
 

これまたゾンビに相性ピッタリなすごい洋館ですね。
ゾンビ×日本兵、、やってみたい…
 
伊達
えっ観たの、劇場で?13年前だよ。
 
木村
BSでしたかね!?テレビでやってたんですΣ( ̄。 ̄ノ)ノ
 
伊達
あっそうなんだね。いろいろ仕掛けや準備が大変だったかな〜。頭ぱっくり割れた傷メイクとかを毎回やってたし、片腕無かったし、さらにゾンビだから白のカラコンつけて。僕はコンタクト初めてで違和感半端なかった。カラコン視界悪いし、その割には客席前3列にしか伝わってなかったし。
 

白いカラコンって、視界かなり奪われそうです、、
たしかに演劇とカラコンは相性悪いですね…笑
 

 
伊達
これね。黒目の大半を覆っちゃうので、視界が白く曇るの。遠目にはわからないので全く演劇には向きません。映像では割とよくありますね。黒目をぱっきり見せるやつとか。青いカラコンとか。
 

共演者には効果があっても、なかなか客席にまでは影響が難しいですよねカラコンは。
でも最近はもうカラコンが普及しすぎて、映像で使ってても、「あ、カラコンしてる」としか思えなくて、効果が薄れてきてますよね。
 
木村
映像だと白目よく見えましたね!これ、カラコン!?カラコン!?って騒ぎながらじーっと見て。もちろん生で舞台を観るのは最高ですが、そういう楽しみもありました。
正直すごく怖かったです。チャーミングな演技をされている瞬間も多いのですが、目が真っ白だからどんなに笑えても気味の悪い雰囲気が全く抜けなくて。
 

 
伊達
ちょっとわかりにくいけど一応これ写真。
僕が好きだったのは小島聖がドアからうにょ〜んて出てくるやつ。
 

洋館とゾンビとのコントラストが良いですね!
うにょ〜んて出てくるの見たい、、
 
伊達
圭史の後ろにある白いドア、実はストッキングみたいな伸びる布でできてて、裏から顔と手を押し当てると、表からは飛び出て見えるの。
 

 

うわあ、それ最高ですね。
ストッキングでドアに見せるって、凄いですね!
 
木村
そんな仕掛けだったのですね。驚くことばかりのお芝居で、何が何だかという状態でした(笑)兵士の方々の演技、熱があってリアルで、タイムスリップしたような感覚になりました…
 

 
伊達
『悪魔の唄』はいろいろあったんだけど、まずは福岡公演の中止かな。
この年、ちょうど福岡公演の仕込み中に、福岡に震度6の大地震があったの。会場周辺は液状化してたし、劇場も機械は動かないし本番どころじゃなかったね。ホテルもひび割れ、ビルの窓ガラスは落ち、コンビニは買い占められ、ちょっとすごかった。東京にはあまり報道されなかったけど、さすがに震度6は立ってられないし移動したり何もできない。収まるまで四つん這いで待ったな〜。
公演中止が決まったんだけど、当時ってSNSとかないから情報が回らないのね。公演日に知らずに来場される方々にお詫びするため、圭史と中山さんと入り口で待機してた。
これをお読みになっている会員の方で、福岡公演をご観劇予定だった方がいらっしゃるかもしれません。その節は大変申し訳ありませんでした。
 

福岡で震度6…そんなことがあったとは知りませんでした。
皆さんに直接、お話されたのですか?
 
伊達
大したこともできませんでしたが、事情をお話しさせていただきました。街中も混乱してたし、何より劇場の機構が壊れて不可能でした。
 
木村
公演中止…ショックな出来事ですね。最近はインフルエンザなんかでも公演中止になったりして。
 

ショックですよね。
ぼくは身体が強くないので、体調管理など、緊張感のあるテーマです。
劇場の機構まで影響がいってしまうと、公演は難しいですよね…
 
伊達
そうだね。その日しか来られない人がいるから、何ともやり場のない気持ちになるね。
 
木村
だからこそ、うきうきもするんですけどね、生で観られる!!って。悲しいなあ。そういうこと、起きないといいなあって本当思いますね。
 
伊達
本番でもいろいろあったんだけど、中山さんが日本兵だから当然軍服の上から武器を装着しなくちゃいけないんだけど、何だか手ぶらで舞台に出たんだよね。しかもその後、軍刀を圭哉さんに突きつけなきゃいけないの。細かいことは覚えてないんだけど、今でも言い伝わってるのが、圭哉さんが事前にフォローしようと何気なく自分の刀を中山さんに渡そうとしたところ、それを拒否して突き返したという。
 
木村
突き返したんですか!?その後どうなりました??
 

突き返した!笑
 
伊達
そうなんだよね。圭哉さん的にはえええええ!で。この後これ必要でしょって。
 
中山
まず、なぜつけ忘れたのかなんだけど最初の装備はゾンビだけに陽に焼けつつの登場なので煙がモクモク出てくる機械が仕込まれた装備で、次の登場からは機械の入ってない装備に付け替えるんだけど‥楽屋に戻って先ず最初の装備とって話してたら忘れちゃって 丸腰で出ちゃったんだよね〜
そしてつけるはずの装備についてる拳銃を山内くんに突きつけシーンが、のちにあるんだけど、こっち丸腰だから せめてもと思って山内くんが短刀を渡してくれたんだけど、もめてる設定だったから俺がその短刀を受け取らず投げ捨てたんだよね〜
その後、時間経過の短い暗転があるから、その時に投げ捨てた短刀をガサゴソ拾って、(心の中では圭哉ありがとうって) 本来拳銃で脅すところを短刀でその日は演ってんだよ。
拳銃に比べると明らかに迫力にかけるから目力アップさせてねー
 
伊達
なるほどそういうことね笑
詳細が知れてよかった!兵隊なのに丸腰で来ちゃったという、心もとなさがパンチあるね。武士が刀置いてきちゃって殺陣やるようなもんだからね。
 

いきなり脅す武器が変わると、脅される側もかなり変化しそうですね笑
短刀と拳銃じゃ全然違いますもんね笑
 
中山
圭哉に渡すペンダント忘れちゃった話もあるけど‥
この年は、他の公演でも旅に出る勇者に渡す伝説の剣忘れて出たり、いろんな公演でかなり大きなミスを繰り返してたわ‥
 
伊達
エアーでペンダント渡したやつでしょ?相当大事なシーンだよね。
 
中山
うん、ピンに入ってた山田美紀(劇団員)にもバレて怒られた!
 
伊達
えっ!?ミキティがピンスポやってたの?
 
中山
確か?違ったかな?たまにやってるよ〜
演助終わって、現場残れる時とか予算の関係で、、
でも、違ったかも。
 
伊達
今度聞いてみよっ。
 
中山
とにかく怒られた、スタッフさんと圭哉に謝りなさいと常識を教えてもらったよ〜
 

勇者に渡す伝説の剣は爆笑です。  もう物語が進まないですよね笑
 
中山
そうなのよ、森くんお察し良いね!その通りなのよ!マジでヤバかったのよ〜
村人の騒ぎに紛れて袖に取りに行ってなんとかしたけどね〜
 

伝説の剣がないとなると、もうフォースの力とかAKIRAみたいな超能力ないと厳しいですもんね…その辺に落ちてる石を聖なる石とか言って渡すしか…
 
中山
ポーグマホーンという剣。それでガンガン戦うから石じゃ無理なのよ。橋下さとしさん殺陣の途中で折っちゃった事もあったけど‥
 
伊達
あ、そうだそうだ!ダブリンね。
 
中山
そうそう!
 

ポーグマホーンって、またいい名前ですね。発語したくなるというか、口触りが良くて好きです。
伝説の剣が折れたら、これは大変ですね…
 
伊達
圭史は両手にハサミのでかいザリガニになってたよ。後藤さん(大王)の本だからファンタジーでね。当時中山さんよく出てたよね。
関係ないけど最近、久保田さん(大王と遊気舎つながりで)をフェイスブックで見かけて嬉しかった。
森くん、ショーケンの「傷だらけの天使」知ってる?
 

高校の頃、後藤ひろひとさんの舞台をよく観ていた時期がありました。
「傷だらけの天使」、ちゃんと観たことはないのですが、知ってます!
 
伊達
それをパロッた「天使だらけの傷」っていう芝居に2004年出たんだけど、(水谷豊に似てるって言われてたから)大阪で稽古だったわけ。今だったら参考に「傷天」をスマホでもなんでもすぐ観れるけど。そしたら久保田さんが、神戸から紙袋にビデオデッキ入れて持ってきたの。ホテルでこれでビデオ観てって。頼んでないのに。優しいなあと思ったね。
 

「天使だらけの傷」ってなんかカッコよくて良いことばですね。
なんかこう、見ておくべき名作ってたくさんありますけど、ドラマとなると長いからなかなか追えないですから、そういう機会に見るチャンスがあると幸せですよね。
映画みたいにパッと見れないですから…
 
伊達
芝居の方は名作というか迷作で、東京公演は駅前劇場でキャスト43人、2時間30分。駅前に43人はすごかった。楽屋は全部女子に使ってもらって、男は舞台上。舞台を壁で仕切って裏に男優陣はみんな息を殺して待機。出番になったら小声で「すいませ~ん」と他の人をまたいで出ていくという。
 

うわああ、駅前に43人は想像するだに恐ろしいですね。酸素足りなくなりそうです。
でも、ちょっと楽しそうでもあります。
 
伊達
楽しかったです。この頃まだぎりぎり20代で身体も無茶きいたし。40代の今はいかに怪我しないで動くかが最も気をつかうところだし。まわりけっこうアキレス腱切っちゃったりなんで。
さてさて、次回は2回目の時代劇『桜飛沫』と『イヌの日(再演)』でーす。