第13回あさすぱ談義

2008〜2010

伊達
いよいよ「MAKOTO」の情報も明らかになってきました。チケット先行の詳細についてはまもなく発表となります。ASP先行もこの会員サイトにて取り扱う予定となっております。もう少々お待ちくださいませ。
さて、アサスパ談義ですが、 2008年ですからちょうど10年前になりますね、ベニサンピットにて「失われた時間を求めて」が行われました。
ベニサンピットは、もともと染物工場を稽古場と劇場として利用したもので、ニナガワスタジオやTPTの拠点となった歴史ある空間です。
残念ながら建物の老朽化のため2009年1月で閉館となりました。客として観てても非常に雰囲気のある場所だったので、惜しい!という気持ちでした。
 

 

 

 
木村
すてき!!!!渋い劇場とセットですね!街灯、ベンチ、落ち葉、ゴミ箱。シンプルでなんだか想像力湧きます。なんか落ち葉の匂い思い出しました。街灯の灯りが点いているのが可愛い。
 
伊達
四角い舞台は溝に囲われ、溝には落ち葉が敷き詰められてます。一枚一枚新聞紙に色を塗って作った落ち葉です。
 

ベニサンピット…先輩方から色々お話を聞いたことがあります。レジェンドスポットですね。
舞台写真ものすごく綺麗です。
 
富岡
中山さん、なんでゴミ箱に入ってるんだっけ?
 
伊達
非常に難しいんだけど、暗転明けるとゴミ箱に挟まって寝てます。寒かったから暖をとっていたのもあるが、そこに逃げ込んでいたとも言える。枯れ葉をゴミ箱に入れたり散らかしたりして、物事のあるべき姿を探索してる男という感じ?猫を探している圭史に助け出されます。
 

あのゴミ箱ゆらゆら揺れそうですし、難易度が高そうですね。
物事のあるべき姿を探索する男。
哲学者のようです。
 
伊達
揺れるよ。人が入ってない時も天糸で引っ張って揺らしたよ。「失われた〜」はこんな話って説明できないんだよね。そのうち台本読んでもらったらいいけど。葉っぱを1枚手に取って、それは自分の体験したある記憶だとして、それを置くべき場所はどこなのか。ゴミ箱の中だとすると、上の方ですぐ取り出せる場所なのか、下の方に埋もれていいのか、ゴミ箱に入れないならすぐそばなのか、地面のどの辺に置くのか。そんなことを延々思い悩む芝居です。
ベニサンピットはなくなってしまいましたが、客席の椅子は錦糸町のすみだパークスタジオ倉に移され現役です。
 

 

このイス、こういう柄なのかと思ったら、色がはげているんですね。
 
伊達
椅子はそうなんです。ベニサンの支配人が桟敷童子を応援していてね。
 
木村
うわー!この椅子気になってました!そういう歴史があったんですね。
 
伊達
1年間のブランクを開けて2010年には「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」を本多劇場にて上演します。これまたこんな話と説明できなくて申し訳ないんだけど、2009年に長塚がイギリスにいる時に見た夢に着想を得てるみたい。
 

 
■あらすじ
思わぬ事件に巻き込まれ、見知らぬ女と夜の街へ逃走してゆく或る作家。そこで作家が出会う人物たちは、知っているようで知らないが、知らないようで知っている。彼らと出会ったのは、自らが描いた物語の世界の中で、ではなかったか。それとも昨日、古本屋ですれ違ったのか。今夜どこまでが現実で、どこからが幻想なのか。気がつけば作家は取調室にいた。  
この恐ろしい尋問は一体作家をどこへと導くのか。
 

2010年…だんだん近づいてきましたね。
写真をみると、美術の雰囲気がかなりこれまでと違いますね!
 
木村
夜の街へ逃避行なんてロマンですね。『トゥルーロマンス』思い出しました!!
出会い、幻想。
見た夢を元にお芝居つくるなんて、まさに夢みたい!
 
伊達
美術は二村さんですね。写真見ると真っ暗だけど、実際セットも真っ黒で、本多って大して舞台の奥行きあるわけじゃないんだけど、照明入れると本当に永遠に奥に闇が続いてるように見えます。柱が何本かあって人が後ろに隠れて動かすと客からは柱が動いて見えるの。それをシーンによって配置換えして取調室にしたり病院にしたり。役者の登場退場も柱から出てきたり、動く柱に消えたり。イメージ伝わる?柱が自分の前を通り過ぎる時、柱と一緒に隠れて移動すると客席からは役者が消えたように見えるの。
 

 

 
伊達
「トゥルーロマンス」いいね〜木村さん。僕も好きでVHS持ってて何度も観てました。僕らの世代は「パルプフィクション」「レザボアドックス」がドンピシャなのです。あとそういえば森くんが好きそうな「アンダーグラウンド」とか。
上の写真見ると床が板張りっぽいでしょ。実際は板目の絵なんだけど、舞台奥に行くにしたがって遠近法で細くなるように描かれてるの。だから闇が続くように見えるんだよね。
 

「パルプフィクション」も「レザボアドッグス」も、そしてもちろん「アンダーグラウンド」も大好きです!
美術すてきですね。少し暗いくらいの照明、大好きです。
 
木村
そのあたりの映画ってかっっこイイですよね!色味というか、最新の映画だとワザとやらないと消えちゃう味がナチュラルで!
今旅行でニューヨークにいるんですけど(笑)、80年代90年代ってまた違ったんだろうな…
森くんは「アンダーグラウンド」好きそう!!!(笑)
これ、絵なんですか!?すごい…技術が…!
 
伊達
「アンダーグラウンド」は渋谷のシネマライズでスタンディングオベーションだったよ。映画で普通ありえないよね。あとは「トレインスポッティング」に無駄に憧れてね。
 

「トレインスポッティング」も最高ですね。舞台美術がカッコいいと、もうそれだけでテンションが上がります。
ぼくは滞在制作で城崎温泉にある城崎アートセンターにいます! ニューヨークいいですねえ〜。
 
伊達
二人とも東京で待ってますよ〜。
この時期アサスパの本公演は、内容や演出がある意味実験的な手法を取っていて、なかなか分かりやすくこんなストーリーですと言えないんだけど、次回2011年もまた、チャレンジングな「荒野に立つ」が待ってますよ〜!