第2回あさすぱ談義

1998

伊達
さて、前回に引き続いて第2回は1998年の『SPIDERS LIMITED』から行きましょっか。派出所のロッカーから中山っちがアサスパ初登場です!
 
長塚
この公演は『SAUDADE』をやって、阿佐ヶ谷スパイダースってのをもうちょっと続けたくなっちゃって、思わず決めた公演っていう。違ったかな?
 
伊達
そう、思わず!だからリミテッドで、中野あくとれ3ステだけ。すでに中山さんとは知り合いだったけど、世田谷の道路事情(一方通行とか)に詳しいお兄さんというのが最初の印象でした。
 
中山
その前のカーズとかでも会ってるし、アサスパ初と言っても『SPIDERS LIMITED』の時にどれ位の関係だったかはっきり覚えてないね〜。
元々伊達ちんは謎キャラだったし、情報も小出しにしか入ってこなかったので‥
 
長塚
カーズね。福ちゃん(福田将就)と俺のユニット。阿佐ヶ谷スパイダースと同じ1996年に立ち上げて翌年まで3本やったんだ。『館内放送山崎幸子』『イタリアン・カップ』(伊達が出た動物がヨット作る芝居ね)『ザ・グレート・バンビ』(中山っち出演のドキュメンタリー作るやつ)。あの頃は色んな人と出会った。小泉和幸さんとか、みーやん、顕ちゃん(小林顕作さん)とか。それで『鮫』だもんね。
 
中山
我らが先輩、小野啓明様もね!
 
長塚
啓明さま!
 
伊達
その頃の双数姉妹では啓明さま、舞台ではロシアの将軍みたいな衣裳でカリスマだったのに、『SPIDERS LIMITED』ではクールビズのスーツだったね。よく出てくれたなぁ。車で一緒に帰ったりしてて、とても気さくな先輩でしたっ。そして『SPIDERS LIMITED』ですが、田舎の駐在所が舞台で、始まってしばらくしてから中山さんがなぜかロッカーから出てくるんだよね。ずーっとそこにいたという設定で。何でか忘れたけど。でもその時の映像はずっと脳内に鮮明に残ってるんだよなー。
 
中山
唐突だけど普通に「ロッカーあっち!」って出てくるんだっけ?
そのセリフだけで最近でもみんなで思い出し笑いするよね。
 
伊達
そう。8月だし実際に暑いのと、そりゃ想像するに駐在所のロッカーの中は暑かろうというのと、中山っちが汗っかきなのがいろいろとない交ぜになったおかしさなんだよね。
 
中山
「ロッカーあっち」で培った感じの芝居は、今でも本能的にやってしまうらしく、こないだの新国立の「君が人生の時」でもそういう感じの登場したわ。
唐突にテンション高めで、でも自分の中では普通にってやつ。もちろんセリフは「ロッカーあっち」ではないけどね。
 
伊達
本能ね~。完全に『鮫』の前歯もそれだからね。芝居というか中山さんの持って生まれたもの。
 
中山
いやいや、違うでしょ!『鮫』の前歯はただのハプニングでしょ!
 
伊達
折れたのはハプニングだけど、客席に背を向けて共演者にそれをアピールしてた姿はやっぱりね(笑)。俺が前歯折っても伝説にはならないもの。
 
中山
伊達がもし本番中に前歯折れたら、上手に腹話術士みたいに全くそんしょうなく芝居続けて、伝説になりそう。
 
伊達
そう言えば『SPIDERS LIMITED』の時はなんかハプニングとかあったかなー?『鮫』は他にも2つあったけど。
 
中山
『鮫』のうちのひとつは痛烈に笑えるやつおぼえているけど、『SPIDERS LIMITED』の方は啓明先輩の衣装しかおぼえてないゃ。
 
伊達
そうだね。そもそも『鮫』で中山っちが前歯折ったのはロシアンルーレットのシーンで銃をぶつけたんだよね。歯どうしたの?拾ったの舞台上で?あと、同じシーンでロシアンルーレットなのに、誰かが2回撃っちゃって段取りが狂ったんだよね。このまま行くと最後の人のところで計算が合わなくなりそうでパニクったという記憶がある。誰がどう解決したのか忘れちゃった。
 
長塚
俺が慌てて2発撃って解決したんだよ。
 
伊達
あ、2発撃って狂ったんじゃなくて、中山さんが歯折って1発も撃たずに次の人に回したから計算狂ったんだね。
 
中山
俺の中では、解決したの顕作さんって記憶になってる!
 
伊達
えーーー!
 
長塚
俺の記憶は俺が解決したことになっているけれど、真実はもうわからないね。顕作さんと言われればそんな気もする。
 
中山
顕作にも聞いてみたいね〜
 
伊達
うん、何事もなかったように次の圭史に回す顕作さんが浮かぶね。辻褄合わせられるのあと圭史しかいないみたいな。
そして『鮫』と言えば加藤啓のジャージね。
 
中山
ほさーっと舞台中央に置かれっぱなしになってたジャージね、
 
伊達
アップ中に脱いでそのまま客入れ始まっちゃったのを、楽屋のモニターで「何だあれ、真ん中にあるエンジ色のやつは?」っていうジャージね。開演前にスタッフが回収したんだっけ?
 
中山
俺の記憶だと、
開演のデジタルロック調のヒップホップ音が大音量流れる中、舞台に皆んなで棺桶持って出て行ったら、
ほさーっと素舞台の中央前ツラに置きっぱなしになってるジャージ発見して、皆心の中で「あちゃー」となりつつ棺桶に似合う苦い表情のまま芝居というかオープニングアクト的なのちゃんと続けて、
その棺桶から今後使う小道具が入った小袋数個を舞台の各所に散りばめていくところで、加藤啓が苦みばしった表情のまま、ほさーっとジャージ回収してはけていったという感じ。
あんなに面白かった事今までの舞台経験でトップなんじゃないかと、よく思い出してるので多分間違いないと思われる‥
その後、はけてからみんなで堪えてた分裏で笑いが止まらなくなって‥次の出番まで笑いが収まるか不安なくらい五分十分笑い続けてたら、
先に笑い終わった圭史が「そんなに面白くないよ」と突然怒られた記憶もある。
圭史も三分は笑いが止まらなかったはずなのに‥と思ったが、
ここはとりあえず笑いをやめなきゃと思ったけど、それでも笑いが止まらなくて、気まずいでも笑い止まらないという地獄のような時間を過ごしたのちそれでも止まらず一回外に出た記憶がある。
 
伊達
ハハハ(笑)。外出たの!?そうなんだ。なんだろ俺の頭の中にあるジャージのモニター映像は。でもそれ間違いないね。エンジは合ってる?
 
中山
色覚えてないゃ、俺の妄想だと紺とか緑系なんだけどそこはあくまで妄想で、
覚えてないや。
それとモニターも合ってるのかもよ、いざ舞台で実物見たときの衝撃が俺の記憶の最優先事項になってるのかもしれない、それくらいの起こり得ない事件だったもんね‥特に『鮫』のオープニングはめちゃ渋いシーンだし、男だけの出演者で皆喪服だったし‥
また啓がジャージ回収する瞬間目があったんだけど、渋い表情からちょっと真顔に戻りつつ、何事もなかったようにハケていったのも面白かったのよ。
 
伊達
いやー、今じゃ本当ありえないね。
さてさて、次回はいよいよ下北沢駅前劇場にスパイダース初進出です!